2021.12.16
製品・技術

配管はプラントの“血管”。メンテナンスの盲点とならないために

発電所や製鉄所、化学工業や製紙工場、食品工場などのプラントに欠かせないのが配管です。
液体や気体、粉体など、特殊な物質や資源を扱うために専用に設計されたプラント配管は、さまざまな流体を輸送するため、工場内の設備から設備へと縦横無尽に張りめぐらされています。

人体にたとえるなら、体内をめぐる“血管”のようなものといえるでしょう。

1. プラントにおける配管の重要性

プラントの種類や設備により、配管を流れる物質もさまざま

外見はどれも同じように見えるプラント配管ですが、目的や用途、条件などによってさまざまな種類の配管を使い分けています。
たとえば、工業用水や排水、熱源水などの液体を流体とする場合は液体配管を、蒸気や冷媒、燃料ガスなどの気体を流体とする場合は気体配管を使います。

プラントでは危険な薬品や可燃性の高い燃料などを扱うことも多く、わずかな漏洩が大事故へとつながってしまう可能性があります。
たとえば、原油などは揮発性が高く燃焼の危険性も大きいことから、取り扱いには十分な注意が必要です。
また、高温の排水、人体や環境にとって有害な薬品やガスなどを取り扱うケースも少なくありません。

 

配管のトラブルは各設備への重大な悪影響に

プラントの構造などにより、屋外を通さなければならない場合や1本の配管が長くなるなど、プラント配管は破損や劣化などによるトラブルが起こりやすい設備でもあります。
そのため、プラント配管を安全な状態で維持するには定期的なメンテナンスが重要です。
しかし、高所での作業や被覆を剥がすなど、実作業となると高度な技術と専門知識を要すため、作業員の確保などを含む綿密なメンテナンス計画が必要となり、なかなかスムーズにはいきません。

取り扱う流体には危険物も多く、高温高圧から低温までといった厳しい条件下で使用されるなど、過酷な環境に置かれることが多いプラント配管は、傷やサビ、配管減肉といったわずかな異常から漏洩などのトラブルが発生します。

人体の血管の障害が臓器の障害へとつながるように、配管の障害はそこにつながるプラント各設備へ悪影響を及ぼし、結果的に設備の稼働率の低下、あるいは全面停止などの重大なトラブルへと発展する可能性があります。

そこで適切な保守計画とメンテナンス塗装の実施が、このようなリスクの低減のために重要となります。

 

2. 適切な塗装でリスクを抑制できる!

高い専門性が求められるメンテナンス塗装

プラント配管のメンテナンス塗装では、配管の素材や配管を流れる物質、使用環境など、さまざまな条件を考慮したうえで、塗装仕様(塗料)が決められます。

配管の素材が炭素鋼なのかステンレス鋼なのか、配管を流れる物質が液体なのか気体なのか、どの程度高温になるのか低温になるのか、配管の保温材の有無やCUI(保温材下配管外面腐食)対策など。
また、結露しやすい環境なのか、塩害の有無や没水の有無など、配管が設置されている環境面での考慮も重要です。
メンテナンス塗装において適切な塗装仕様を判断するには、これらを総合的に鑑みる必要があるため、高い専門性が求められます。

 

素地調整の判断がメンテナンス塗装のカギ!

メンテナンス塗装の前処理として行われる素地調整(下地処理)。
中でもケレン作業は、メンテナンス塗装の完成度にも大きく影響する重要な工程の一つとされ、サビや塗膜の割れなどの旧塗膜の状態、または高温対応などといった配管の種類など、さまざざまな条件からどの程度の素地調整を行うかの判断を下します。

素地調整は、作業内容や方法などに応じて1種ケレンから4種ケレンまでの4種類に分類されます。
とくに、サビや旧塗膜の除去面積が広く作業負荷が掛かる1種ケレンや2種ケレンでは、ケレン残しによるサビの再発といった課題も多く、素地調整の見極めが非常に重要となります。

配管外面の塗装区分の一例について、以下に示します。

配管外面の塗装区分(例)

上記表のように素材や温度・環境、保温材の有無などにより塗装仕様が細かく設定・判断されます。
場所によって汚れやサビの程度が異なるだけに、素地調整の判断、いわゆるケレンの出来栄えがメンテナンス塗装の重要なカギとなっているのです。

3. メンテナンス塗装の課題をご相談ください。最適な塗装仕様をご提案します。

関西ペイントでは、メンテナンス塗装をお考えのプラント設備について、素材や環境、旧塗膜の状態など、さまざまな条件を考慮したうえで、補修に適した塗装仕様をご提案します。
設備管理のメンテナンス計画などにお役立てください。

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