研究開発関西ペイントの技術基盤

長きにわたる研究開発を通じ、我々が創出してきた技術の中で特出すべきコア技術を抽出しました。

必要成分の選択ノウハウを注ぎ込んだ配合設計、形の異なる粉体原料を液状化する粒子分散、液から薄膜に変換する成膜形成を3つの柱とし、多様な技術の集積、組み合わせによって要素技術が蓄積されています。

これら一つ一つが当社の強みであり、価値を飛躍的に高める製品を生み出すために更なる「基盤技術」「要素技術」の追求と拡大に取り組んでいます。

基盤技術

粉体原料

粉体分散ペースト

粒子分散
凝集粒子を最適な大きさに分散し、求められる機能のスラリー/ペースト液状物を提供するコア技術です。高分子乳化、粉体混合などの要素技術を集約し最適化します。

液状塗料

配合設計
化学/物理特性の異なる多成分の材料を分散・混合し、一つの安定な液体もしくは流動体を提供するコア技術です。高分子合成、色材選定などの要素技術を集約し最適化します。

塗膜

成膜形成
物体の表面に適切な被膜を形成し、物体の保護、美観、その他求められる機能を付与するコア技術です。流動性制御、塗装工程設計、複層膜制御などの要素技術を集約し最適化します。

要素技術

表面機能化

物体の表面を改質し、本体の性状は変えずに表層だけに特定の機能を付与します。利用者のニーズに応じ、硬質化や疎水化などの物理特性、生体親和や不活化などの化学特性、肌触りや光反射などの形状特性を付与させます。

防食/防錆

物体の表面に保護層を形成し、発錆や腐食から物体を守ります。物体が置かれた環境下の腐食要因を明確にし、塗膜の凝集力や素地密着、pH緩衝や腐食因子バリヤーなど適切な特性を付与することで物体の健全性を維持します。

感光材料設計

光硬化は紫外線や可視光線を照射することにより硬度の高い塗膜を得る方法で、一般の塗料に比して短時間硬化が実現可能です。高分子設計や開始剤の選択、或いは照射光の適正化により用途に応じた塗膜を提供できます。

流動性制御

塗料構成物や添加剤の配合を調整し、塗工液の流動性をコントロールします。これによって貯蔵安定性が高く、塗装作業性に優れた塗料を実現します。また、塗布後の半固体状態の流動性も適正化し、欠陥のない高仕上りの乾燥膜を獲得します。

高分子合成

多種のモノマー原料を用い、それぞれの塗料用途に適した高分子樹脂を合成します。モノマー種、分子量、直鎖や分岐などの構造コントロールによって、無限に近い組合せの中から最適な高分子をカスタマイズしています。

高分子乳化

油溶性の高分子を水性塗料に導入すべく、サブミクロンオーダの高分子エマルションを調整します。高分子の独自設計、乳化剤や乳化装置の選定、転移状態の制御などによって、安定なエマルションを獲得します。

色材選定

顔料サプライヤーと共に発色性や光輝感に有用な有機/無機/金属顔料を開発し、その上で耐候性など塗膜性能への影響をビッグデータとして獲得しています。長年の蓄積データを通じ、用途に応じた最適な色材選定を可能としています。

粉体混合

表面処理や機械的解砕によって化学性状の異なる粉体同士を均質な分散・混合状態に導きます。粉体ブレンドとして粉体塗料を提供する一方、液体内でも異種粒子を均一に分散させて安定な液状塗料を具現化しています。

光線制御

紫外線吸収剤や赤外線反射顔料などを用い、特定の光線波長を吸収もしくは反射する塗膜を実現し、その塗膜に紫外性耐性や遮熱などの機能を付与します。また光散乱や光干渉を利用して独特の発色や塗膜外観を創出します。

デジタル色再現

実塗膜の色や質感をデジタル空間内に落とし込みます。或いは、既に登録されている材料への紐付けロジックを通じ、要望されたデジタル像を実塗膜で再現していきます。顧客との対話、イメージ共有に有効なツールとして機能します。

計算科学/ビッグデータ解析

コンピューターシミュレーションや統計的アプローチを導入し塗料の材料開発や現象解析を迅速化しています。量子化学計算に基づきミクロ視点の挙動を捉えたり、ビッグデータとAI解析によって最適解を探ったりしています。

複層膜制御

多くの塗膜は複数の膜を積層してトータル機能を達成しています。層構造のレイアウトや各層の塗装および乾燥条件を考慮し、且つ混層状態や物質移行を制御しながら、各層が有する性能を最大化し得る総合膜を実現します。

塗装工程設計

スプレーやローラーなど塗装法の理解と習熟を通じ、求められる塗膜外観や機能発現に適した塗装設備・条件を提案します。また塗装条件の制限に応じて塗料側の表面張力や粘度挙動を制御し、最適な塗膜品質を達成します。

高耐候性

光、水、熱などの負荷がかかる環境下に対し、最適な化学種を持つ高分子や顔料種を選択し、耐久性の高い塗料を提供します。また劣化モードを解析し、長時間の曝露を模倣し得る促進試験を見出し、評価の短縮に寄与しています。

透過阻止

塗膜の撥水性や緻密性を向上し、被塗物物体に影響を及ぼす水、酸素、特定イオンなど環境因子を透過阻止します。更に塗膜の硬度やガラス転移点を調整し、汚泥、落書きインキ、化学薬品の浸透を防ぎます。

接着/付着

塗料と物体の界面エネルギーを低下させ、且つ塗料にアンカー効果のある高分子や付着プロモータを導入し、最適な塗膜の接着/付着を実現します。一方その逆として、相互作用力を調整し、易剥離機能を付加することも可能です。