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社外取締役メッセージ

Message from an Outside Director

社外取締役のメッセージ
社外取締役のメッセージ

社外取締役のあるべき姿について

私は、上場企業のトップとして執行側の立場で指名委員会等設置会社、社外取締役として監査等委員会設置会社、監査役会設置会社及び非上場企業に携わってきました。
その経験から、執行と非執行は対立する存在ではなく、両者はお互いの役割を果たし、企業価値を高めていく「共同作業」をしていく関係だと考えています。
共同作業の内容として重要なことは、戦略を立案することと、戦略を100%やり遂げるというサイクルを繰り返すことです。社外取締役の役割は、執行をがちがちに縛ることではなく、「この範囲で思いっきりやってほしい」範囲を明確にし、執行に任せることだと考えています。

関西ペイントの現状と評価

4年の在任期間を通じて、当社は社外取締役の進言を取り入れて変わっていく所が優れていると認識しています。
現在の執行側は、戦略の中で経営基盤の強化や組織再編成・幹部育成など、小手先ではないことを一生懸命にやっています。取締役就任から最初の1年は執行の経過報告や成功話が多く、やや形式的な場であったと感じていました。

しかし、最近は、取締役会以外の非公式の場面での「討議」いわば「場外討議」で根本的な議論を重ねることもあり、執行と非執行との間に信頼感が芽生え、コミュニケーションも増えてきました。
私たち社外取締役の多様な経験・知見も経営に反映されるようになり、取締役会の実効性は徐々に改善してきたと受け止めています。例えば、役員の報酬について中計達成のインセンティブを高めるために、国内外の有力企業150社以上をベンチマークし、新たな業績連動型の制度に改定されています。

当社の社外取締役は、企業経営経験者に加え、ジェンダー、外国人など多様性に富んだメンバーで構成されています。私は、様々な企業の経営に携ってきましたが、当社の社外取締役メンバーと執行体制・監査役会設置会社の構成という現体制は、現状に対して最適な布陣だと考えています。

今後の課題

当社がグループの創業精神のもと、企業理念に則ってさらなる持続的な成長を遂げていくためには、組織力およびグローバル展開に関わる2つの課題があると感じています。一つは、現計画で目標としている経営基盤の強化をやり遂げることです。もう一つは、中計の先を見たグローバル視点での経営です。

グローバルな拠点整備、海外含めた人財の発掘と登用、サプライチェーンの最適化、マテリアルズ・インフォマティックスやスマートファクトリーといったDXの加速、さらにはESG対応などの難易度の高い課題に対処していく必要があります。
そのためには、非執行メンバーに対してファンダメンタルな情報を事前インプットし、既に始めている場外討議を充実させることで、社外取締役の経験を執行に提供したり、将来を見据えた本質的な議論を増やしたりすることが、これまで以上に重要になってくると考えます。

また、当社の「Great」な未来、持続的な企業価値の向上に向けて、前述の様な将来やるべき事に対して、きちんとした知識を持った人が必要です。その為に、スキルマトリクスを利用して、中長期を見据えた体制を作っていくことが、必要だと考えています。

そして何よりも、当社が真のグローバル企業になるために、海外も含めた優秀な人達を正しく処遇する仕組みを考える時期に来ていると思います。現在の取締役は全員が2~ 4年の経験があり安定しているため、良い議論ができる土壌があります。その土壌を活かし、引き続き私自身も社外取締役としての役割をしっかり果たしていきます。