環境
Task Force on Climate-related Financial Disclosures
当社グループはTCFD提言の11の推奨開示項目を順次開示していく取り組みを進めています。
ガバナンス | 内容 | 進捗 |
---|---|---|
① 取締役会による監視 | ・執行の管理:四半期毎に進捗を報告 | 2022年8月取締役会で決議 |
・短期計画(1年):予算策定時に審議 | 2022年8月取締役会で決議 (2023年度開始) |
|
・中期計画(3年):中計策定時に審議 | 2022年8月取締役会で決議 | |
② 経営者の役割 | 気候変動問題を含めた環境全体の基本方針などの重要事項は取締役会で審議・決議 | 2022年8月取締役会で決議 |
取締役会:執行の管理及び大きな視点での助言 | 2022年8月取締役会で決議 | |
経営会議:執行の方針・施策の決定と実行 | 2022年8月取締役会で決議 | |
サステナビリティ担当役員の設置 | 2023年度設置予定 | |
サステナビリティ推進組織の常設化 | 2023年度設置予定 |
下記内容について順次開示を進めていきます。
区分 | 推奨開示項目 | 具体的内容 | 主な開示手段 |
---|---|---|---|
戦 略 |
③ リスクと機会 | ・1.5度シナリオと4度シナリオをふまえて、短・中・長期の気候関連リスク及び機会を開示 ・毎年シナリオ分析を見直し、更新開示。 |
統合報告書 Webサイト |
④ ビジネス・戦略・財務計画への影響 | ・最新シナリオと戦略の整合を図る ・戦略やリスクの変更点の開示 ・変更点の財務的インパクト試算 |
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⑤ シナリオに基づく戦略のレジリエンスの説明 | ・サプライチェーン刷新によるレジリエンス強化内容の開示 | ||
リ ス ク 管 理 |
⑥ リスクを評価・識別するプロセス | ・リスクの識別、当社グループへの影響度基準の策定 | 統合報告書 Webサイト |
⑦ リスクを管理するプロセス | ・シナリオ分析について、重要な変更点(例:疫病や戦争、災害等による前提条件の変更)が無いかをサステナビリティ推進委員会にて確認。 ・シナリオ分析から導かれた全社としての行動方針については、取締役会での審議・決議 ・各事業部門の行動計画は、経営会議にて審議・決議し、中計及び毎年度の組織及び予算(投資・リスク管理費)に織り込む ・決議された行動計画は、4半期毎にサステナビリティ推進委員会がとりまとめ、経営会議と取締役会で報告、討議する ・リスク管理委員会とサステナビリティ推進委員会は、情報共有を密にする |
統合報告書 | |
⑧ ⑥⑦が総合的リスク管理に統合されているか | ⑥⑦の統合的管理 ・毎年の予算 ・中期経営計画 |
戦略説明会(中計) 統合報告書 Webサイト |
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指 標 と 目 標 |
⑨ リスクと機会の評価に用いる指標 | ・移行リスク、物理的リスク、気候関連の機会、資本配備に関わる情報の順次開示 ・炭素価格と報酬についての検討 |
統合報告書 Webサイト |
⑩ Scope1、2、当てはまる場合は3の排出量 | ・GDPによる海外情報収集 ・日本サプライチェーン刷新による原材料情報、原材料と製品物流情報の測定範囲と精度の向上 ・各部門による外部(顧客、サプライヤー、物流等)との情報共有、協働開示の交渉 |
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⑪ リスクと機会の管理に用いる目標と実績 | ・年度計画、中期経営計画において目標を設定、実績を測定し開示 | 統合報告書 |
TCFD提言に基づく情報公開に向けて、当社事業を取り巻く市場環境の変化要因を検討しました。当社の事業である塗料の生産供給とそれに関連するサービスの展開においては、その対象となる被塗物、すなわちお客様の資産や製品が受ける環境変化を考慮する必要があり、自動車、建築物、インフラ、工業製品などその対象は多岐にわたります。そのため、気候変動に関する各種シナリオや各種団体が公表する予測に加えて、各業界団体で公表されるシナリオ、さらにはお客様のシナリオ分析やリスクと機会を参考にさせていただきながら進めました。シナリオ分析では、気候変動対応シナリオ(1.5℃上昇)と成り行きシナリオ(4℃上昇)の2つのシナリオで2030年、2050年の市場環境を世界各地域について社会像を描くこととしました。
市場環境シナリオから、リスクと機会を特定する作業を進めています。この作業では各事業分野への影響評価に落とし込む過程で、市場環境への新たな要因の発見もあり、作業を繰り返してシナリオに修正を加えながら精度を上げるよう、進めています。
区分 | 具体例 | 影響時期 | |||
---|---|---|---|---|---|
短 | 中 | 中 | |||
リスク移行 | 政策と法律 | ・炭素税及び気候変動対策のためのコスト | ● | ● | |
技術 | ・化学品全般の使用制限 | ● | ● | ||
・素材変換による原料供給課題 | ● | ||||
市場 | ・既存顧客とのビジネス環境変化 | ● | ● | ||
評判 | ・化学系企業への評価 | ● | ● | ||
リスク物理的 | 急性 | ・異常気象、風水害による自社及びサプライチェーンへの影響 | ● | ● | |
慢性 | ・温暖化、海面上昇によるBCPリスク | ● | |||
機会 | 資源効率化 | ・長期耐久性用途製品・サービスへの機会増加 | ● | ● | |
エネルギー源 | ・顧客生産工程の省エネルギーを目的とした新たな製品・サービス | ● | ● | ||
製品/サービス | ・気候変動対策・資源循環に関わる新規ニーズ | ● | ● | ||
市場 | ・産業構造変化による新規ビジネス新興 | ● | ● | ||
レジリエンス | ・環境レジリエンスを促進する分野へのビジネスニーズ | ● |
当社グループで共有する市場環境シナリオ及びリスクと機会の事例を各事業部門並びに関係会社に提供し、各事業環境におけるシナリオの検証、リスクと機会の洗い出しを行います。各事業部門では特定されたリスクと機会をもとにリスクへの対応及び戦略との調整を行ったうえで財務影響項目をリスト化し、影響度などを判定します。最終的に当社グループにおける財務影響の特定(リスト化)とその定量化を進めます。
TCFD提言に基づく情報開示に向けて、京都大学との産学連携による取り組みを進めています。
シナリオ分析における市場環境シナリオの策定プロセスでは、京都大学大学院工学研究科(都市環境工学専攻)藤森真一郎准教授とのセッションを通して、気候変動対応(1.5℃上昇)シナリオ、成り行き(4℃上昇)シナリオにおいて想定される事象と経済的な影響(GDPへの影響など)を加味し、さらに気候変動対応を進める世界でどのような生活変化が起き、どのような社会環境になるかについて様々な角度からご意見をいただくとともに、議論を通じて理解を深めることができました。
また、当社の主要事業である自動車用塗料と建築用塗料を事例として取り上げ、2030年、2050年に向けた市場規模変化のシミュレーションでは、従来の一人当たりGDPと人口増加をベースとした予想に、気候変動対応によるGDPへの影響、人の移動距離の変化など様々な社会変化による影響などを要素として加えることで、当社各事業における気候変動によるリスクと機会の検討と、財務指標への影響の定量化、精度向上に向けた基礎データ作成を進めています(京都大学との産学連携にあたっては、京都大学100%出資の事業子会社である京大オリジナル株式会社を通じて実施しています)。
国・地域別の自動車販売台数推移を、成り行き(4℃)、気候変動対応(1.5℃)の各シナリオにおける人口、一人当たりGNP、気候変動対応による政策やインフラ変化の各種影響を想定して、試算しました。
今後も自動車販売台数は増加を続け、特に気候変動対応シナリオにおいて、アフリカ、アジア・パシフィック地域における増加が顕著という結果になっています。
国・地域別の自動車販売台数推移を、成り行き(4℃)、気候変動対応(1.5℃)の各シナリオにおける人口、一人当たりGNP、気候変動対応による政策やインフラ変化の各種影響を想定して、試算しました。
今後も自動車販売台数は増加を続け、特に気候変動対応シナリオにおいて、アフリカ、アジア・パシフィック地域における増加が顕著という結果になっています。