KHD-390
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    11    6. 新技術の紹介 6-2-4 高耐久性ふっ素樹脂塗料 ふっ素樹脂塗料は、ウレタン樹脂塗料に比べ耐候性がよく、劣化しにくいことから、本州四国連絡橋では1998年(平成10年)に供用開始した明石海峡大橋以降の海峡部橋の新設塗装及び塗替え塗装において上塗り塗料として採用しています。 このふっ素樹脂塗料の色調は主にライトグレーであるため、その中には白色顔料の酸化チタンが使用されていましたが、光触媒作用によるものと推測される樹脂分解による光沢度低下が確認されました。このようなことから本州四国連絡高速道路株式会社では、現行の塗色を前提として塗料メーカーからの提案を基に現行のふっ素樹脂塗料よりも耐候性に優れる高耐久性 ふっ素樹脂塗料を開発しました。また、瀬戸大橋で行った実橋試験塗装、宮古島及び大鳴門橋暴露試験場における暴露試験結果を踏まえ、「高耐久性ふっ素樹脂塗料上塗(暫定)」の塗料規格を制定しました。 その主な内容を表①に示します。①高耐久性ふっ素樹脂塗料上塗の主な品質(暫定)項   目品    質色 相白(淡彩色)60度鏡面光沢度75以上屋外暴露耐候性塗膜に膨れ・はがれ・割れがなく、光沢保持率は、(財)日本ウエザリングテストセンター宮古島試験場での光沢保持率が、暴露期間3年で50%以上及び色の変化の程度が見本品に比べて大きくないこと。ふっ素の検出ふっ素が存在すること。6-3 その他の新技術6-3-1 環境対応の現場塗膜除去技術:環境対応形塗膜剥離剤 一般塗装系で塗装された鋼道路橋を重防食塗装系へ移行するためには、現在塗装されている旧塗膜を完全に除去するために素地調整程度2種以上を適用する必要があります。一般塗装系旧塗膜には、鉛化合物、六価クロム化合物、PCB等の有害な物質が含まれていることがあるため、これらを飛散なく、さらには産業廃棄物量を必要以上に増やすことなく、かつ安全に塗膜除去作業ができる技術が開発されています。 その技術の一つとして、環境対応形塗膜はく離剤による現場塗膜除去があります。環境対応形塗膜剥離剤は、塗膜を溶解して除去する従来の塗膜剥離剤とは異なり、塗膜をシート状に軟化させるため除去塗膜の回収が容易で、高級アルコールを主成分とするため毒性及び皮膚刺激性が従来の塗膜剥離剤より低い。また、ブラストや電動工具による除去工法と異なり、塗膜ダストや騒音がほとんど発生しないのが特徴です。 環境対応形塗膜剥離剤は、塗膜に剥離剤成分を浸透させることによって剥離させることから、既存塗膜の膜厚が大きい場合、塗付時及び塗膜浸透時の気温が低い場合、さらに浸透時間が短い場合には塗膜剥離がし難いことがあるので、対象とする橋の塗膜で事前に試験して浸透条件を把握することが好ましい。 なお、さびや黒皮、長ばく形エッチングプライマーのような鋼材と化学的に反応している塗膜などは除去できないため、必要に応じて別途除去方法を検討します。 また、環境対応形塗膜剥離剤は、アルコール系高沸点溶剤を主成分とし指定可燃物可燃性固体類などに分類され、取り扱いは塗料と同様の配慮が必要です。6-3-2 環境対応の現場塗膜除去技術:クローズド超高圧水洗い塗膜剥離システム 塗替え工事において、旧塗膜を剥がし、より耐久性の高い塗料へと塗替える場合が多くなってきましたが、塗料の性能を十分発揮させるためには塗装前の素地調整が極めて重要であり、塗替え塗装での1種ケレンの必要性が高まっています。 その技術の一つとして、クローズド超高圧水洗い塗膜剥離システムがあります。このシステムは壁面を自動走行できる剥離ロボットによって、超高圧水で塗膜を剥離します。剥離濁水を処理し濁水中の塗膜粉を分離回収する事で、一般排水として排出できる水を得ると共に産業廃棄物量を大幅に削減しました。また壁面走行ロボットと組み合わせる事で、剥離濁水の完全回収、剥離工事騒音の大幅な低減、外部への水の飛散防止及び仮設足場費用の低減が可能となりました。しかし、設備が大きくなるため対象物が限られ、また平面以外の箇所、狭あい部には適用できないなどの問題が残されています。6-3-3 環境対応の現場塗膜除去技術:ブラスト面形成動力工具 塗替え工事において、桁端部等の局部的に腐食損傷が激しい箇所は、ディスクサンダ―などの動力工具を用いて素地調整程度2種の調整を行い、さび等を除去して局部塗替えを行っています。しかし、ディスクサンダーなどの動力工具では、局部的に発生した凹凸部のさびを完全に除去することは難しい。そのため、塗替え塗装を実施しても、本来の持っている塗膜の耐久性を十分に発揮できないことが多々あります。 このようなことに対して、ディスクサンダーなどの動力工具に変わり、これらの問題を解決できる有効手段としてブラスト面形成動力工具があります。この動力工具は、回転運動している特殊硬質ブラシが加速棒を介して衝撃運動に変わり、ブラシ先端が鋼材面を叩きつけることによって、ブラストに似た清浄面やアンカープロフィールを形成でき、素地調整程度1種相当を得ることができます。作業効率があまり良くないことから、大面積の素地調整には向かないものの、小面積や狭あい部において、ディスクサンダーなどの 動力工具では得ることのできない高い素地調整品質が得られることによって、本来持っている塗膜の耐久性能を十分に発揮させることができるので参考にしてください。6-3-4 エアーアシスト方式静電スプレー塗装 塗替え工事において、ライフサイクルコストの低減の観点から、高品位な塗膜を得るために、エアレススプレー塗装による塗装仕様(Rc-Ⅰ)が設定 されました。ただし、都市部などではエアレススプレー塗装によって発生する塗料ミストの周辺環境への飛散の問題等があり、はけ・ローラー塗装時よりも飛散対策はより重要となります。 その技術の一つとして、エアーアシスト方式静電スプレー塗装は、エアレススプレーに補助エアーを加えたエアラップ静電塗装方式で、風に流されず、被塗物に良く付着する大きさの塗料の微細粒子(スプレーミスト)を生み 出し、補助エアーの流れに包んで吹付けると共に、静電気力を利用してスプレーミストの飛散を抑えつつ高い塗着効率と良好な仕上り、また作業環境の改善を達成する塗装方法です。 エアーアシスト方式静電スプレー塗装は、高い塗着効率(風速3mで塗着効率80%以上)を達成でき、通常のエアレススプレー塗料の使用量よりも少なくすることができます。また、浮遊ミストがほとんど発生しないため、 安全で衛生的な塗装環境が確保できます。さらに、導電性飛散防護メッシュシートを併用することにより、風に流されるスプレーミストの作業現場外への飛散を防ぐことが出来ます。 ただし、エアーアシスト方式静電スプレー塗装は、静電塗装を基本としているため、電気伝導度の高いジンクリッチペイントには適用できないので、 注意が必要です。

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