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達人インタビュー
柳川まり保存会・会長 北島 妙さん

大好きなのは、「茜色」。糸は秋に染めるのが一番ええんです。

「私のまりは、玉の芯の部分からぜんぶ自然のものでできているんよ。芯は杉の間伐材を使っていてね。だから柔らかくて軽いまりが作れるんです。外は植物から染めた木綿糸。他の地域だと、藍色の糸を中心に使うのが普通みたいだけど、柳川のまりは茜色をしとるんが特徴だね。私も茜色が一番好きだから、よく使うんよ。」

北島さんは、およそ10月頃に1年に使う糸を発注するのだとか。理由は、糸を染める原料となる植物が一番採れる時季だからだそうです。茜色の糸は、「クチナシ」の花から。藍色の糸は、「アイ」の花から。緑色の糸は、「ヨモギ」の葉から。そして茶色の糸は、「栗」の毬(いが)からといった具合に、北島さんが作る柳川まりは「日本の色」ばかり。それぞれ3種類の濃淡色を仕入れて、日本古来の色使いでまりを紡いでいきます。

この柳川まり、今となっては注文がない限りは作ることがないそうで、柳川市内の物産店でも買い求めることができません。それでも、噂を聞きつけて県外からも問い合わせは絶えることなく、軒先に腰をおろす北島さんの手が休まることはありません。

北島さんが1年に作るまりの数は、なんと約300個。休日を除けばほぼ1日に1個、まりを仕上げてる計算になります。しかし、これこそ達人が成せる技。初心者は最初の芯を丸く形作ることさえままならず、少なくとも100個作らないと感覚を覚えることができないと北島さんは語ります。

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美しいデザインと色使いを、100年先に残していくために。

柳川まりのもう一つの特徴として挙げられるのが、自然に生きる植物などをモチーフにした多彩なデザイン。おおよその「型」は決まっているといいますが、北島さんさえも知らないほどたくさんのデザインがあると言います。

「朝顔、河原撫子、水仙、桜、花菖蒲、秋桜、梅……。ほんとにたくさんの型がありますよ。人によって型も色使いもみんな違う。だから面白いんです。」

そう語りながら北島さんは、まりの芯の部分をこしらえていく過程を見せてくれました。右手で材料をぐるぐると手際よく巻きとり、左手によって丸く形が整えられていきます。途中、左手の親指で芯の詰まり具合を確認しながら、表面の薄いところがあれば所々補正を繰り返します。すると数分もしないうちに真ん丸の芯が完成しました。

「だいたい朝7時に起きて、朝御飯を食べて、8時半にはここに座ります。11時半になったら休憩。そして午後の2時から5時までまたまりを作ります。…これをしてると、ほんと、何も考えず1日が早く過ぎるんですよ。習いに来なさった方もみんな、『ええもんを教えてもらいました』ちゅうて帰って下さるよ。手先を動かすし、集中して作業するから、お年寄りにはもってこいの趣味だと思います。」

現在では、北島さんの娘さんが目下、まりを作る練習に勤しんでいるのだとか。北島さんの祖母から北島さんへ、そしてその娘さんへ。更にはその御子孫へ……。こうして柳川の伝統工芸は、木漏れ日の射す穏やかな軒先で、途絶えることなく後世へと語り継がれていくのでしょう。
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