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達人インタビュー
金沢箔・伝統工芸士 新木昭さん

手間ひまがかかるからこそ希少性も高くなる。

新木さんがこの仕事を選んだのは、たまたま家がこの仕事をしていたから。最初は、やってみようかなという軽い気持ちで、お父さんの見まねで紙仕込みから始めたそうです。
でも、40年以上やっている現在でも、まだまだ納得していないと新木さん。
「どの職人に聞いても同じだと思うけど、私たちの仕事は、仕上がった品物を問屋さんへ納めて、実際に使われる先の職人さんの手に渡ったとき、果たしてそれで納得してもらえるか、というところがいちばん難しいところです。実際使う人からはクレームも付くし、なかなか難しい、厳しい世界なんですよ」。

そんな金箔工芸の世界にも時代とともに新しい波が訪れているとか。20数年前に、新木さんたち伝統工芸士の方が行っている「縁付け金箔」という方法とは別に、大量生産が可能な「断ち切り」という手法が誕生し、いまではこちらの方が主流になってきているそうです。「縁付け金箔」と違って「断ち切り金箔」は、化学的な処理をした紙を使うため仕込みの手間がいらず、何年も修行をしなくても簡単にできることから、いつの間にか主流の座にのし上がってしまったのです。

「私らがやっている昔からの手法は、工程も多くて複雑やけど工賃も違う。その分、何十年経っても金の色は変わりません。いまでは、希少価値の高いものになってきてるんです」。


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美しい工芸品を作りだす縁の下の力持ち。

そして、もうひとつ新木さんの頭を悩ませているのが後継者問題。いまも「縁付け金箔」を作り続けている職人さんは33軒ほどで、そのうち息子さんが後を継いでおられるのは、わずかに3、4軒ほどしかないそうです。
「息子でなくて他人の若い子がいるところは、うちぐらいしかおらんもんね。何とか歯止めをかけたいけれど、どこの伝統工芸も後継者問題で厳しいね。漆器や他の伝統産業は他府県でも製造されてるけど、箔は金沢でしか製造してないんよ。昔、父親の代なんかには京都や会津若松、滋賀県でもやっていて交流があったけど、今はここだけしかないから、ほんとのほんとの地場産業ということでがんばっていきたいなと思うわけ」。

仏壇や美術品だけでなく、食品や小物にまで金箔が使われている昨今は、用途も需要も増えていてるとはいえ、まだまだ景気もよくなったとは言い切れません。また、一人前になっても金沢箔は単なる原材料に過ぎないため、いくら最高の仕事をこなしても、加賀友禅や久谷焼のように作家として自分の名前が表に出ることはない。それだけに、地味な作業に若い成り手が育たないのだと新木さんは嘆かれます。
「例えば仏壇に貼ったって、この金箔は誰々が製造したって、まさか書かれてないがやし。おこがましいけど、いつも思っているのは、金沢箔は伝統工芸の縁の下の力持ちです。何とか皆さんに将来も愛されて、永く使って欲しいなと思っている。それだけしかいえんもんね」。

新木さんが透かして見せてくださったあの幻想的で美しい金箔の輝きと、新木さんの巧みな職人技は、金沢だけにとどまらず、日本人にとって大切な伝統文化です。何とかしていつまでも途絶えることなく、私たちを照らし続けてくれることを願わずにはおれません。
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