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東京・千石に住む榎本さんは、今年76歳になる、すこぶるパワフルな左官名人。50歳の頃に一線から退かれたものの、壁づくりに傾ける情熱は衰えるどころかますます盛んになるばかりです。
一昨年には「現代大津磨き」という新たな技法を生み出したとか。
「現代大津磨き」とは、それまであった大津磨きと呼ばれる技法をさらに進化させて、現代風なアレンジを可能にしたもの。土を塗り、乾かすだけで、まるで鏡のように美しく光る土の壁ができあがります。
「生んだんじゃないよ、いろいろやってるうちに偶然できちゃっただけ」という榎本さん。
その言葉通り、自宅下にある仕事場では日々新しい可能性を求めて研究が重ねられています。まるで実験室のように所狭しと並ぶ、さまざまな道具。そのなかで、ひときわ目を引くのが、クレヨンを混ぜ込んだように色鮮やかな土たちです。
土といえば「茶色」というイメージが一般的ですが、赤あり、青あり、黄色あり。
微妙な色の違いを数えれば、1万種とも2万種とも、数え切れないほどさまざまな色の土があるそうです。その違いは地域性からくるものなのでしょうか?
「地方地方で違うけど、基本的には粘土分が強いか弱いかの問題。そこから砂分をとって粘土にしちゃったら質的には同じになっちゃう。
淡路なんか行くと白っぽいのがあるだろう。広島なんかに行くと赤いのがある。でも北海道に行っても白はあるし、関西にも白はあるんだよ」。
普段、私たちが目にする土は、たまたま地表に現れているもので、土を深く縦に掘っていけば、どこででもそれなりに異なった色の層が現れてくるのだそうです。
つまり単純にいえば土の色の違いは、取れる深さの違いによるもの。地球規模から考えれば、狭い日本、そんなに変わるものではないというのが達人の意見です。
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