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連載記事 風土を旅する 第五回 近畿 薄雲に隠れた、街並みを歩く

写真 人の道と、水の道を辿って。そこに垣間見る古都の今昔物語。

さて、三条通に踵をかえし、改めて両サイドに並ぶ街に目をやる。建物はどれも低く、北方にはうっすらと雪化粧をした山々を望むことができた。また、建造物の色合いも景観法によってコントロールされており、コンビニエンスストアやファストフード店などのカラートーンが抑えられていることも多い。そんな特有の風景を眺めながらさらに歩みを進めれば、三条通は突然アーケードがかかる三条商店会へと姿を変える。この商店会、「365日晴れ」というのがキャッチコピー。確かに。約800mにわたる通りには自転車店や肉生鮮食料品店など地元住民の生活に根ざした店舗が軒を連ねるが、その間で町家を改装したサロンやカフェも営業中。若い世代が古い町家を再生しアート活動や店舗に使うことが増えているが、この三条商店会も遅まきながらその流れを表しているのかもしれない。

三条商店会から再び東へ。「界わい景観整備地区」に指定され、明治・大正生まれの近代建築物が立ち並ぶエリアを抜ける。さらに鴨川にかかる三条大橋を渡り、ゆるやかな登り坂に若干の疲れを感じながら、歩くこと30分ほどで蹴上(けあげ)に到着。煉瓦作りの小さな蹴上トンネルを見つけて中をくぐれば、南禅寺の塔頭、金地院周辺へとつながっている。車のエンジン音は金地院には届かず、南禅寺ではさらに静寂さを増す。法堂を過ぎて境内を歩いていったその時、巨大な門のような建物が現れた。「水路閣(水道橋)」である。

1890年、琵琶湖の水を京都市内に引き入れ、生活用水や灌漑用水、紡績、水力発電などに利用する、いわいる「琵琶湖疏水事業」が竣工。さらに、琵琶湖から船を搬入ための傾斜輸送線路(インクライン)が設置された当時は、京都中の人々が弁当片手に見物するほどお祭り騒ぎになったという。しかし、今日ではインクラインは茶色く錆付いた台車跡を残すのみ。かつて周辺の緑に映えただろう水路閣の煉瓦の赤は、激しく風化し色褪せを隠せない。その様相がかえって趣を滲ませ、古い絵画のような美しい景色を作り出しているのだが、眺めるほどに寂しさが胸を刺す。どこか物悲しいのだ。それは水路閣が過去に生きている遺産だからかもしれない。

三条通には、実に様々な顔を見せてくれた。京都の今昔が混在し、共存し、未来があった。少しは、ステレオタイプの観光地・京都ではなく、「京都の人々の京都」を感じることができただろうか。そんなことを思いながら、水路閣を後にする。ほとんど日が沈み、空はうす紫に染まろうとしていた。道端をチョロチョロと水が流れていく音が、私達を見送るのみだった。


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