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連載記事 風土を旅する 第三回 北陸 伝統に色づく街より

写真 加賀の伝統工芸、九谷焼きに見られる新たな息吹

金沢の伝統の中には、仕掛けばかりでなく、さまざまな色彩の文化も数多く残っている。
五彩といわれる配色が特徴的な加賀友禅や九谷焼。シェア98%といわれる金沢箔に、それを使ったきらびやかな仏具・蒔絵なども、昔ながらの伝統を受け継ぐ金沢の工芸品だ。

そこで、金沢を代表する伝統工芸のひとつ、九谷焼を訪ねて寺井町の久谷焼資料館へ行ってみた。九谷焼は、350年ぐらい前に加賀藩初代藩の命によって始められたもので、絵付に紺青・紫・黄・緑・赤のいわゆる九谷五彩をふんだんに用いた、鮮やかな上絵付けが特長的な焼物。生地の青みが強く、砂混じりで粗雑だったため、その欠点を補うために全面を塗りつぶす独特の技法が生まれたといわれている。「例えば同じ黄色でも、数ミリグラムの材料の入れ方によって、何千種類もの黄色が生まれるんですよ」とは、資料館・主任の中浦彰彦さん。この色はこの作家しか作れないという色があり、それが久谷の魅力にもつながっているそうだ。

九谷焼の色について、九谷焼陶芸館の方でも尋ねてみた。自らも九谷焼の作家である佐久間忍さんの話によると、基本的に九谷焼に使われるのは、和絵の具といわれるガラス絵の具で、未発色のガラスに二酸化金属を添加してあるものが使われているそうだ。それを800度ぐらいに焼いたときにガラス化して色を発色させるという。しかし、和絵の具は焼く前と焼いた後では色が違ってくるので、慣れないと色付けが難しく、また、塗る厚みが違っても微妙な色合いが違ってくる。そこで大量生産を目的に、もっと後の時代になって開発されたのが洋絵の具だ。一度、高温で色を発色させたものを細かく粉砕して作ってあり、誰でも同じような調子で仕上げられるらしい。和絵の具は焼き上がりに透明感があり、下に描いてある地模様が浮き出て見えてくるような仕上がりになる。一方、洋絵の具は不透明な絵の具で、上に描いたものが勝つので、透明感があまり強くなくペンキのような質感になるそうだ。

ところで、信楽焼きなどでは土そのものの風合いを活かし、素朴な味わいを楽しむ陶器もある。しかし、九谷焼はなぜ生地の欠点を色で覆い隠すという技法がとられているのだろう。「もちろん風土的なものもありますが、九谷焼は、庶民のための焼き物ではなく、ごく一部の限られた階層の人たちのための、鑑賞用や儀式用の器として誕生したんです。そのため非日常的な場所に映える、美しさが求められて発達してきました」と佐久間さん。
しかし、九谷焼が焼かれていた釜跡を調べてみると、日常で使われる茶碗や皿などの焼き物が数多く出ていて、むしろこうした鮮やかな色絵の九谷焼は、ごく一部でしかなかったそうだ。今では九谷焼というと五彩がふんだんに使われた色絵を想像するが、本来は地味で素朴な隠れ九谷のようなものが存在し、おおいに庶民に利用されていたのだ。

「最初は古典的なものを写して勉強しましたけど、生きている時代が今なので変わってきました」という佐久間さんの作品は、カタチも色も独創的でかなりユニーク。色の出方を見ながら、何度も色を重ねて焼くやり方で、手探りしながら作品作りに励んでいるそうだ。電気釜で温度をコントロールできるようになってからは、佐久間さんのように何度も焼いて作る作家さんも結構多くなっているとか。焼き方だけでなく古九谷の伝統を受け継ぎながらも、新しい色調やデザインなどに挑戦している若い作家達も増えていて、陶芸館に隣接して建っている窯元のショールームには、モダンな普段使いの焼き物も多く展示されていて新鮮だった。

(取材協力:九谷焼資料館

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