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連載記事 風土を旅する 第三回 北陸 伝統に色づく街より

写真 金沢・茶屋街に見る非日常空間の赤と青

そんな金沢の中で、日常とは違う華やかさが見られる茶屋街へ向かうことにしよう。金沢には、いまも「ひがし」「にし」「主計町」の3カ所に茶屋街が残り、京都の祇園以上に茶屋文化が受け継がれている。現役の芸子さんや地元の人たちが懸命に伝統と格式を守っているからだ。最近、建てなおされたと思える真新しい建物でも、ちゃんと昔ながらのお茶屋造りになっているし、夜にはレトロな軒街が灯され、粋な風情を感じさせてくれる。しかし、ここも時代の流れで芸妓置屋の数は年々少なくなり、いちばん規模の大きな「ひがし」茶屋街でも置屋は6軒だけ。多くは、土産物屋やBAR、料理旅館などに変わってきている。「一見さんお断り」だった置屋をそのまま利用している喫茶もあり、貴重な文化財を間近に見られるのだから、観光客にとっては都合がよいのかもしれない。

ここでは、日常の暮らしとはかけ離れたハレの空間、華やかな世界を垣間見ることができる。さっそく目的のものを探して「ひがし」茶屋街の「志摩」に入ってみる。玄関を開けるとすぐに急な階段があり、2階の客間へ続いている。三味線の音が響きやすいよう、大屋根まで吹き抜けの構造になっているそうだ。他にも透かし模様の手すりや「キムスコ」と呼ばれる細い紅殻格子が、町屋とは違う茶屋独特の香りを漂わせている。そしてさらに奥へ進むと、落ち着いた雰囲気の入り口周りとは違って、華やかな客間の風景が現れた。床の間の壁が一面、紅殻で赤く染まっている。赤といっても目を伏せたくなるような毒々しさはないが、ここが昔、遊興の部屋として使われた、非日常的な空間であったことを物語るには十分な艶やかさだ。赤は店の回転をよくする効果もあるというが、ここへ通った客達にどんな効き目があったのだろう?

今度は「にし」茶屋街の「華の宿」へと足を伸ばす。同じ茶屋街といっても、「にし」の茶屋街は「ひがし」に比べるとあっけなく街並みが短い。しかし1軒1軒は、同じようなしっとりとした茶屋造りで、玄関、階段、2階の客間と同じ設えが続いている。こちらの客間にも赤壁の部屋があり、さらにその奥には群青壁の部屋、緑壁の部屋まであった。
確かに青には心を落ち着かせる効果があるというが、それが上級の人をもてなすための部屋だと聞いてさらに驚いた。群青色の壁は、赤に比べて明らかに明度が高く、目に飛び込んでくる。「ひがし」は武士、「にし」は商人などの旦那衆が足繁く通った茶屋街だというから、ひょっとすると庶民の方が派手好きだったのかもしれない。

「にし」茶屋街のほど近くには、仏教国ならではともいえる景観が広がっている。その名も寺町というだけあって、無数の寺院が点在していて、中には拝観するのに予約が必要な別名・忍者寺と呼ばれる寺まである。別に忍者と縁があるわけではなく、殿様が参詣に来たときの警護のため、建物自体に数々の工夫が凝らしてあるのだそうだ。そういえば金沢の街は、細い道がくねくねと入り組んでいて、不慣れなものが感に頼って道を曲がったりすると迷子になる確率が高いらしい。街全体を迷路のようにして、防衛力を高めてあるとは、さすがに百万石のお膝元。まだ他にも知らない仕掛けがいろいろありそうだ。

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